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何かが変!
私の頭が変!
ついに来たか、痴呆の末期的症状が!
幻覚が漂う。
夢が追いかけてくる。
何処の空間なのか、色鮮やかな幕が開く。
流れ星が地上に落ちた。
我が家の生き物は、そんなの気にも止めない。
でも、普段通りの営みに、ある、変化が起こる。
その変化は緩やかに、確実に浸透してゆく。
不可思議な、不気味な、出来事が起こり出す!
人が切り刻まれてゆく、惨殺が横行する。
血が飛び散り人々が逃げ惑う。
それを、追いかける惨殺魔。
どこから現れたのか
逃げ惑う人々を襲っては高らかに笑い出す!
そんな事はありません!
でも、心の中に潜在的に、その思いがあるのか?
ありません。
断じて。
誓ってでも、ありません。
夜が明けようとしている。
縁側に出て見ると、雨が降っている。
潤いの雨。
素晴らしき雨音。
地上に降る雨は、植物に潤いを与え、生き物に活力を与える。
しかし、求める量までは恵みの雨。
限界を超えれば、危険度が増す。災害が起こる。生命の危機が発生する。
何事にも、適度が大事だ。
だからではないが!
“ う~ぅ ”
“ う~ぅ ”
“ あなた、あなた、どうしたのです? ”
奥様の声が頭の中に響きます。
奥様に起こされて、我に返って、ぼんやり気味の旦那様。
“ ここは、どこ? ”
“ 今の出来事は、なに? ”
深酒の応報か!
起きても、悪い夢が拭えません。
目が覚めて、現実を見直しても、心の騒ぎは収まらず。
虚ろな気持ちで、起きだし、顔を洗い、歯を磨き、酔い覚ましの酒をチョピリ飲み干す。
台所に辿り着くも。
食卓に並べてある品数の多さに驚く。
“ なに、なんで、なんなの! ”
旦那様の驚きの声。
これも夢!
一瞬、そう思わざるをえない光景に戸惑うも。すべて、美味しそう!
奥様は、忙しそうに動きまわっていらっしゃる。
声を掛ける、間合いが取れない。
ただ、驚きの言葉なし。
普段の料理ではない。
朝の食事は、味噌汁だけの、簡素なもの。
それが、今日は、何?
色んな料理が、所ろ狭しと並べ置いてある。どれも、美味しそう。
どれも、色鮮やか。
食欲くが湧く品数だ。
要約、奥様の動きが収まり、テーブルに置く品物も終わり、一段落顔。
“ 畑で収穫した物ばかりですけどで、いかがですか ”
“ これだけ料理するのは、大変だったんですよ ”
見れば、素晴らしいご馳走のオンパレード。
トマトの料理から、茄子の田楽、胡瓜のあえ物、かぼちゃの料理から、イクラと納豆とナメコの料理と、豚肉と、しし唐とアスパラを加えた煮込み料理。
私の大好物、茄の味噌漬け。
飲み物に、紫蘇のジュース。等、等。
テーブルに、溢れるばかりの品数だ。
今日は、二日酔い気味なのに!
あぁ~、ため息が出ます。
奥様のお顔を見れば、満足気味のご様子。
“ だって、早く、使わないと、折角の新鮮な食材がだめになるのですもの! ”
“ 新鮮な内に、ねえ、だからね、たんと、食べて下さい ”
“ 真心の、ま~ごころの味 ”
“ たんと食べて、うんと食べて元気がでますように、ね! ”
今日の奥様のご様子が、チョト、変。
浮かれ気味のご様子。
何か、いいことでもあったのかな!
それとも、これから、何かいいことでもあるのかな!
うむ!
“ あぁ~ ”
二日酔いの腹具合で、この料理を、どう、処理するか考える旦那様でした。