07:21

 

筑後川の川沿いでの散歩が日課です。

季節は、冬。

朝の散歩が億劫になります。特に北風が強い日は、もう、諦めるしかない散歩の余裕。

毎日の歩み。

時には、夫婦で。

たまに、又兵衛が寄り添います。暖かい朝だけ。

そして、一人ぽっちの散歩は寄り道を兼ねて。

朝日が拝める川の淵で、朝靄が立ち込める幻想的な雰囲気が気に入っています。

そんな時間を持ちながら、寒い散歩を楽しんでいます。

今日は、昨日より少し暖かい。風はなし。

空気の温度と川の暖か味が異なってくると、自然って、素敵な現象を見せるもの。

靄が流れて、周りを覆います。

雲海の様に。

生き物の様に。

立ち竦んでいると、もう、周りは真っ白な闇に包まれます。

靄は川原を覆い、土手を這い上がり家々が立ち並ぶ集落へと広がります。

風が凪の時、霧(きり)の姿は勢いを増して、すべてを覆いつくし真っ白な空間を創り上げるのです。

散歩の途中で、その霧に遭遇すれば戸惑いながらも歩きます。

霧が覆う散歩は、いつもと違います。

いつもは、視覚で歩きます。でも、霧が立ち込める時は、頭の内部の記憶で歩きます。

頭の内部に、いつも通る道筋を描きます。その道を辿ります。

歩く速度は遅くて、踏み出す足先が、消えては現れる幻想的な散歩。

目の前に、誰か来ても、気付かぬ瞬間も、偶には、面白いものです。

 

近頃、そんな朝靄が頻繁に起こります。

それも、暗闇の時間から始まります。前はそんな事あまりなかったのですが。

 

 

 

自然は人間が考えている以上に、素直なのかも知れません。時代の渇きに。